エラン (新谷かおる) [漫画感想]
10代の少年少女達が商社を作ってビジネスを始める。その目的は”ネバーランド”、自分たちの国を作るため。
設定も、ストーリーもかなりおもろかった記憶があって、最近読み直してみたらやっぱりおもろい。どうも連載当時人気がなかったようで、短期連載で終わってしまった作品。経済や法律用語も行き来して、新谷先生、かなり勉強して(もしくは優秀なブレーンがついて)連載に望んだ様子が伺われるが、時代が早すぎたか。もったいない。
商社をやる10代はあまり聞かないが、IT系では、学生企業も目立つ昨今。今、連載されていれば、それなりに人気の出た作品かもしれない。
いろんな伏線らしき話も未消化なまま。
もし時代が、とか、もし違う雑誌なら、とか、漫画に限らずだかそんな作品は数多ある。これも、その一つ。
続きを書い欲しいです。
リトルフォレスト (2) (五十嵐大介) [漫画感想]
『小森のこと
”小森”は、東北地方のとある村の中の小さな集落です
商店などはなくちょっとした買い物なら役場のある村の中心まで出ると
農協の小さなスーパーや商店が数軒
行きはおおむね下りなので自転車で30分くらい帰りはどのくらいかかるかなぁ…
冬は雪のため徒歩になります のんびり1時間半くらいでしょうか』
表紙の折り返しにある作者による小森の紹介。
どんなに悩んでいても、食べるときの描写は必ず笑顔。
いち子が料理を口にする時の顔が美しい。
レシピが実用的。
北国の話なので、かなり寒くないとできなものも多いけど、野菜の保存の仕方とか参考になる。
トマトなんか、あれで保存が利くのかぁって感じ。都会のトマトは完熟トマトじゃないけどね。
しなびたアケビが旨いなんて知らなかった。
野菜を育てて、料理をしたくなる。
ベランダ菜園から始めてみようかな…。
愛しみ育て食べてしまう。
食材のほとんどが、自分で育てたり摘んできたもの。
これって、すごいことだなぁと思うけど、ほんとは、そっちが人間本来の姿なのかもしれない。
アイガモの回の最期の笑顔がなんとも言えない。
リトルフォレスト(1)(五十嵐大介) [漫画感想]
東北のとある集落、小森。都会で暮らしていた”いち子”は、その小森に帰って、一人で暮らし始める。都会での暮らしに疲れたいち子の心が見え隠れしながらも、母に教わった記憶をたどったりや集落のおばちゃん達に教わりながら作る料理の数々。
米を作り、ジャムをつくり、山菜を摘み…。野菜を育て、害虫を殺す。甘酒もどぶろくも自分で造る。そして、手間暇をかけて料理を作る。
作者の五十嵐は、実際にこんな生活を送っているという。登場人物の目が魅力的。いち子のおいしい顔が良い。 最高に食欲をそそられるのだ。
しっかり、レシピも付いているし、作ってみようかなぁと思うけど、たぶん、無理なんだろうなぁ。
実際にこういう生活を送っている人たちは沢山いるんだろうけど、都会で暮らしてきた僕にとって、この漫画はファンタジーだ。
スパイシー・カフェガール(深谷陽) [漫画感想]
プ~ねこ(北道正幸) [漫画感想]
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(滝本竜彦) [漫画感想]
深夜のスーパーから高級霜降り和牛2キロを万引きしてきた帰り、高校生の山本陽介は、チェーンソーを振り回す不死身の男と闘う美少女高校生雪崎絵理と出会う。
ただのボーイミーツガールな小説じゃない。
設定は非日常だが、僕らが社会に感じる閉塞感と見事にシンクロさせている。
学校の先生も、寮のお姉さんも、隣の部屋の友達も、死んでしまった仲間も、大好きなあの子も、結局お互いに理解なんかできないんだ。
でも、生きてりゃドキドキできるんだぜ。
って感じでネガティブに、ハッピーに疾走する。
表紙は灰羽の安倍吉俊で、第五回角川学園小説大賞特別賞受賞とくれば、スニーカー文庫から出そうだが、角川文庫で出ている。それは、角川の意気込みの現れとも取れるし、ライトノベルが文学の一角として、無視できないところまで来たとも受け取れるよね。
夕凪の街桜の国(こうの史代 ) [漫画感想]
僕は、西武新宿線の沿線に住んでいたことがある。
そこには、この作品の舞台の一つとなる、新井薬師前駅がある。
そのせいか、この漫画は、僕にとって、教科書や本より、映画やテレビより、ずっとリアルに戦争を感じさせてくれた。
「ヒロシマ」から60年。
でも、終わっていない戦争が、日本にはまだあるだ。
まぎれもない名作。
しかし、過去に語り継ぐべき作品ではないかもしれない。
今、読み、今、感じて欲しい。
あずまんが大王(あずま きよひこ) [漫画感想]
あずまきよひこの才能を世に知らしめた作品。
女子高生達の日常を4コマ漫画で切り取ったゆるーい感じのギャグ漫画。
肩の力が抜けてるけど、何も考えていない訳じゃない。
大人になるのを急ぐわけでもなく、子供のままでいる訳でもない。
自然に、自然に、時間が流れている。
日常の中に、ちょっと可笑しいことが隠れてる。
友達とさ、「あのとき、何を話してたか忘れたけど、なんか、バカ笑いが止まらなかったよね」なんてことあるだろ?
なんか、そんな話が詰まってるんだ。
掲載紙や題名で、敬遠する人も、多いみたいだけど、それは、もったいない。
手にとって、ちょっと、読んでみてくれ。
あずまんが大王(2)
あずまんが大王(3)
あずまんが大王(4)
暗黒神話(諸星 大二郎) [漫画感想]
僕が覚えているもっとも古い漫画の記憶。
それは、馬頭星雲の絵だ。
4~6歳だったはずだ。
作家も題名も覚えていなかっった。
年を経て、それが諸星大二郎の暗黒神話だったことを知った。
記憶というか、トラウマかもしれない。
今でも、馬頭星雲は、何か恐ろしいモノというイメージがつきまとっている。
彼の作品に登場するモノが、全てが歪なんだ。歪な人間、歪な神々。まるで、子供が粘土で作った人形のようだ。
彼にしか表現できないものが、そこにはある。
是非、読んで欲しい。
よつばと!(あずま きよひこ) [漫画感想]
『よつば』という女の子と、周りの人々の日常を描いたマンガだ。
子供の頃って、時間を、長く感じなかったかな?
一日が、一年が、いまよりずっと、長く感じていた。
猫じゃらしを穂先だけ残して、蛙を釣ったり。
雲の流れを一日見ていたり。
田んぼでまいてる農薬の甘いにおいが好きだったり。
夜空の月が自分についてくるのが不思議だったり。
一つのことに集中すると、時間って短く感じてしまうんだけど、いろんなことが新しくて、楽しくて、あっちに行ったり、こっちに行ったりしてた。
だから、時間を長く感じていたんだと思う。
このマンガの中には、そんな時間が流れている。
使い古された言い回しだけど、だけど、かつて、子供だった人にお薦めだ。
間違いなく、この作品は、今のマンガの頂点の一つだと思う。